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賃貸で民泊ってできるの?
賃貸で民泊はできる?
結論から言うと「できます」。
しかし、自分が所持しているわけではない場合、つまり誰かから借りている賃貸で民泊を行う、いわゆる「又貸し」のような形をとる際には注意点があります。
賃貸物件の貸主からの許可を得ない又貸しは、「賃貸標準契約書」にて禁止となる旨が記載されています。民泊として賃貸を貸し出す場合には、貸主、借主の枠を超えた第三者が介入してくることでトラブルに発展しやすくなります。そのためなかなか貸主からの許可が下りないということもあり得るため理解が必要です。
また、賃貸となる物件の多くは「住居用」として制限された状態で賃貸借契約を結んでいます。そのため、住居以外の用途として民泊営業を行った場合には、用法違反となりかねません。例え貸主からの許可を得ていた場合であっても、民泊営業を行う旨の申請は別途必要となってくるため注意しましょう。
賃貸で民泊を行うことのメリット、デメリット
賃貸で民泊を行うまでは許可申請や手続きなどに手間がかかるといったデメリットのほかに、先にも記載したようにトラブルが起きた際に手間取ることが多いと言ったデメリットも挙げられます。第三者である民泊の利用者が近所とのトラブルを起こしたり、賃貸の部屋に損害を与えてしまった場合には、又貸しをした民泊のオーナーがその責任を負う必要があります。場合によっては、損害賠償金を請求されるなど、オーナー自身の損害に繋がってしまうこともないとは言い切れません。
とはいえ、もちろんメリットもあります。
まずは初期費用を比較的抑えることができること。いわゆる「事故物件」のような何かしらの問題を抱えている物件は住居として貸出されても余ってしまうことも多く、費用面も安く設定されていることが多いです。民泊として貸し出しをする場合には、民泊のゲストに事故物件である旨を説明する告知義務はなく、費用を抑えて物件を取得できるだけでなくさらにそれを収益源として活用することが可能となります。
また、新しく賃貸を借りるのではなく、元から賃貸として貸し出している物件があり、空室で民泊を行おうと考えている場合には、本来であれば得られないはずの空室状態の物件から利益を出せるといった点で収益率の向上につなげることができるでしょう。
賃貸で民泊を行うなら気を付けたいポイント
内装工事はできるの?
民泊を行う際、民泊として宿泊しやすくするためにリノベーションをしたいと考えている方も中にはいらっしゃるでしょう。とは言え賃貸。どこまで手を加えていいのか、何をしていいのかわからない方もいらっしゃることでしょう。
内装工事は民泊利用の申請同様、貸主、または背景にいる組合などからの許可を得る必要も出てきます。
ほとんどの場合、賃貸の内装工事は認められず、認められたとしても、大規模な工事はできないことが多いです。特に賃貸の共有部である玄関外やベランダ他、水道設備、空調設備など、他の部屋にも影響のきたす設備にまで手を付けることは原則不可能になっています。
どうしてもリフォームしたい、イメージチェンジをさせたいと言った場合には、原状回復が容易なプチリフォームを行うことをおすすめします。壁紙や床を少し変えるだけでも部屋の印象は変えられます。
また、壁にも装飾を施したい場合には、釘のように壁に跡の残りやすいものを使うのではなく、画鋲で固定できるものを選ぶなどと言った工夫ができるのも良いでしょう。
賃貸という本来住居として使うべき部屋で非日常感を感じさせる内装デザインにすることは容易ではありませんが、照明の演出や、インテリアへのこだわりなどで居心地の良い民泊の演出をできるようにしましょう。
許可や申請も忘れずに
賃貸物件で民泊を始める前に、適切な許可申請を行うことは非常に重要です。
賃貸物件で民泊を始めるためには主に2つの許可申請が必要となってきます。
まず、物件の所有者や管理会社と言った、オーナーから民泊を行うために得る許可。多くの賃貸契約では、商業目的での使用が禁止されているため、賃貸借契約書を確認し、「転貸許可」を得る必要があります。これから民泊に使用するための賃貸物件を借りる場合には、予めこの「転貸許可」が得られる物件を探すようにしましょう。
次に、一般的な民泊すべてに共通する地方自治体によって異なる民泊に関する許可・申請も必要になってきます。特に、住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく登録が必要です。
この法律は、安全性の確保や近隣住民への配慮を目的としており、消防法に基づく安全設備の設置や、最低宿泊日数の設定など、いくつかの基準をクリアする必要があります。
最後に、申請が承認された後も、定期的な報告や条件の再確認が必要になることがあります。自治体によっては、年に一度の更新申請が必要とされることもありますので、継続的な運営を行う場合はその点にも注意が必要です。
民泊におすすめの賃貸は?
マンション
マンションは、駅の近くのような交通の便の良い場所にあることが多いです。そのため、ビジネスパーソンや1人での民泊の利用、若い少人数組での利用をターゲット層とするのが良いでしょう。
また、マンションでの賃貸を行う場合には近隣住民からの理解を得ることが重要となってきます。本来住居として使う物件であるため、住民のみの利用としてセキュリティ対策をしていても、民泊で第三者が来てしまえばその安全性は揺らいでしまいかねません。防犯の観点からも民泊を行う際には近隣の住民との良好な関係を築き、民泊に対する理解をしてもらう必要があります。
アパート
アパートは国内外を問わず、1人での観光客の方の利用が多い傾向にあります。特に費用を安く抑えられることから外国人観光客の利用が多いです。
そんなアパートですが、マンション同様にアパートも近隣住民、乃至オーナーの許可が重要です。特にアパートでは隣人とのトラブルを避けるためにも、騒音対策などに配慮することが大切です。
下のフロアがある場合には、音が響かないようにカーペットを敷くなどの対策をする、騒音に気を付けるようにと言った旨の注意書きを置くなど、対策を行いましょう。
また、消防設備面での設備の設置にも気を付けるようにしましょう。消火器の設置や防犯設備の強化など、宿泊者の安全を確保するための対策が求められます。
一軒家
アパートやマンションとは異なり、大人数での宿泊を可能とする一軒家。立地にもよりますが、家族連れや外国人観光客の方に多く利用される傾向にあります。
一軒家の賃貸で民泊を行う際にももちろん、物件所有者からの許可が必要です。民泊を目的とした使用が可能か契約に明記されているか確認し、許可を得ることが必須です。
一軒家ならではの広さや庭の魅力を活かした内装やアメニティにより、宿泊客を呼び込むことに繋がります。また、大人数での利用を鑑みたうえで駐車場の設置などもあっても良いかもしれません。
隣接した直接的に騒音トラブルになる危険性は低いとはいえ、ゴミ捨てなどの観点から近隣トラブルには気を付けるようにしましょう。
民泊として家を使っていることを近隣の住民にも理解してもらったうえで営業を開始するようにしましょう。
民泊だけじゃない!賃貸の工夫方法
民泊営業の隠れ落とし穴
民泊を開業するためにはまず物件を取得する必要があります。しかしこの物件、賃貸であれ、持ち家であれ、法律や場所によっては開業が認められない場合もあります。
主に工業地域と呼ばれる工場建設の認められている地域や、一般的な住宅街であっても申請する民泊の形態によっては営業不可とされることも。
またどの届け出を出すかによって、営業日数や必要となってくる設備も異なります。それぞれの届け出について理解しておくことが重要です。
まず「旅館業法」。ホテルなどの宿泊施設が該当する旅館業法は営業日数の定めが無く、収益性を見込みやすいものの、フロントの設置義務がある場合があったり、居室の床面積が定められていたり、都道府県からの許可が必要だったりと開業までが手間になりがちというデメリットが挙げられます。また、立地に関しても住居専用地域での営業は認められていないため、なかなか厳しい定めが設けられていると思っておくのが良いでしょう。
一方で「民泊新法」は、「旅館業法」と比較すると手軽に民泊を行うことが出来ると言って良いでしょう。
フロントなどの設置義務はないほか、居室の大きさも定められることはありません。都道府県への届け出は必要にはなってくるものの、許可を必要とすることなく、立地も旅館業法で定められている範囲よりかいくらか広いというのがポイントです。
ただし、旅館業法と大きく異なるのが営業できる日数が決まっているという点です。民泊新法に則って民泊を営業する場合には、年間で180日までの営業のみが認められています。そのため、年間で半分近く収益を得られない期間が出てきてしまうことがネックとなります。
365日営業するための抜け道とは?
恐らく多くの人がその手軽さから民泊を営む際には「民泊新法」に基づいて民泊を行うことを考えるでしょう。
しかし、開業するにもせっかく物件があるのに日数が限られてしまえば収益率も見込めない宝の持ち腐れ状態になってしまいます。
そんな状況を打開し、365日空き部屋にすることなく開業する抜け道をここではいくつかご紹介いたします。
まず『特区民泊』にすることが挙げられます。
特区民泊とは指定された自治体で、外国人観光客へのニーズを主にした民泊を行う場合に適応させることができます。外国人が宿泊するに際し、使い勝手のいいように外国語の案内表を作る、日本の文化を楽しんでもらうべく、ベッドではなく布団を用意しておくなどと言った配慮があるのもいいでしょう。
次に『ウィークリーマンションやマンスリーマンションとして活用する』こと。
宿泊の予定が入っていない期間、限定して部屋を貸し出すことで、収益が途切れることを未然に防ぐことができます。家具なども設置してある状態なので長期間滞在するには適している内装になっています。
最後に『レンタルスペースとして活用する』こと。
特に古民家などの場合には、構造自体が非日常さと日本の古き良き文化を感じさせるものであることから、映像を撮る際の舞台にも適しています。またちょっとしたパーティーを開きたいなんて言った場合にも、キッチンがあらかじめ取り付けられている民泊は利用者にとって利用しやすい環境となるでしょう。
民泊新法で民泊を行う場合には、
収益を途切れさせないためにも民泊だけでなく、別の面を持たせてみるといったことを視野に入れてみるのが良いかもしれません。
開業後の注意点
時にはターゲットの見直しもしよう
開業後、想定していないターゲットが多く利用したり、収益率が思ったほどいかなかったりした場合にはターゲットを見直す必要も出てきます。
また、時期によっても外国人観光客が多く利用する時期、日本人のビジネスパーソンが多く利用する時期など、主な利用をするゲストが変わってくる場合もあります。その時期に応じたターゲットに適した内装にするなどちょっとした変化を加えてみるのも良いかもしれません。
また、ターゲットへのアプローチ方法についても予め考えておきましょう。『Airbnb』を使用することはもちろんですが、日本人観光客にはSNSを通じてのアプローチが効果的です。日本人観光客を特に呼び込みたい時期にはSNSを活用する、外国人観光客は『Airbnb』を主に使うなどの使い分けをするのも良いかもしれません。
清掃についても考えておこう!
民泊を開業してからについても考えておく必要があります。特に維持の部分は気を付けるようにしましょう。
民泊としてだけでない使い方をするにせよ、室内の清潔感はゲストからの満足感を得るための重要な要素となってきます。ゲストが使い終えた後には清潔感を維持するためにも速やかな清掃が必要です。
特に民泊の清掃において重要視されるのが『アメニティの補充』『水回りの清掃』『リネンのクリーニング』の3点です。衛生的な観点からも目につきやすいこの点には注力して清掃に取り組めるようにしましょう。
とは言え、民泊を運営している方のほとんどが住居は民泊と別の場所にある方ではないでしょうか?そうするとなかなか清掃のために民泊まで向かうというのは手間がかかって億劫になってしまいますよね。また、広い民泊を運営している場合には、1人では手間がかかってしまって手が回らないということにもなりかねないのではと思います。
そこでご紹介したいのが、民泊の清掃代行業者です。
清掃代行業者であれば、ゲストが帰った後すぐに清掃を行う柔軟な対応ができるほか、プロの清掃技術で丁寧な清掃を行うことができます。
ゲストの満足感や今後の評価のために重要となってくる清潔感の維持のためにも、オーナー自身の負担を減らすためにも一度検討してみるのが良いかもしれません。
まとめ
賃貸物件での民泊のメリットとしては、初期費用の抑えられる点や、収益の可能性が広がる点が挙げられます。一方で、トラブルや手続きの手間などのデメリットもありますので、注意が必要です。
民泊を賃貸物件で行う際には、いくつかの注意点や手続きがあるため抑えておくようにしましょう。特に賃貸での民泊は賃貸のオーナー乃至、管理会社からの営業許可が必要です。
運営にあたっては、民泊のターゲットや営業方法を工夫することで、収益を最大化することができます。また、清掃などの運営面においても、専門の業者に依頼することで効率的かつ、ゲストからの満足感も得やすい形で民泊を維持することができます。