民泊を始めるまでの流れ

民泊を始めるためには大きく分けて3ステップの流れがあります。

1．物件の取得

使わなくなった持ち家を民泊として利用する場合には問題ありませんが、賃貸物件を借りて民泊とする場合にはいくつかの注意点があります。詳しい物件の選び方については後述の「物件の選び方」をご覧ください。
この時、選んだ業務形態や、住宅の消防設備要件を満たすために必要に応じて内装工事などを行う場合もあります。

2．許可申請

物件を用意することができたら、続いて許可申請や届出の提出です。民泊は一般的に「住宅宿泊事業」に分類されますが、この時の届出は主に行政機関への提出が必要です。また、民泊を行うためには「旅館業法」「民泊新法」「特区民泊」いずれかの民泊の業務形態に応じて都道府県からの許可や認可が必要になってきます。選択した業務形態がどういった許可申請乃至、届出が必要になるのかも予め理解しておくことが重要です。

3．資金の調達

民泊を始めるためには大体数百～1000万ほどの資金が必要とされています。

ここで必要となってくるのが資金の調達です。
まずは自己資金を活用します。貯金を使ったり、不必要な資産を売却して資金を調達する方法です。自己資金が不足する場合は、銀行融資を検討するのも良いでしょう。
銀行などからのローンを利用する際には、しっかりとした事業計画書を用意する必要があります。また、日本政策金融公庫を利用すれば、中小企業向けの低金利融資を受けられます。信用保証協会の保証付き融資も、銀行からの融資を受けやすくする手段です。銀行によっては民泊開業に特化したローンなどもあります。

さらに、補助金や助成金を活用することも有効です。自治体の地域活性化や観光振興を目的とした補助金、中小企業向けの政府や地方自治体が提供する補助金があります。

自分に合った方法でうまく資金を調達して理想の民泊を作ることに備えましょう。 

民泊を始める際に必要なもの

物件の選び方

民泊を成功させるためには、必要になってくるのがまず物件です。ここではまず物件選びの際に重要となってくるポイントをいくつかご紹介いたします。

まず、立地条件が非常に重要になります。観光地やアクセスの良い駅が近くにある物件は、ゲストにとって非常に便利で人気があります。近くにあるのが大きな駅でなくともバス停などでも利便性が高く、好まれやすくなるでしょう。また、コンビニエンスストアのようなちょっとした買い物がしたい時に便利な店が近くにあると尚良いかもしれません。その際に注意したいのが治安状況です。繁華街が近くにある物件の場合、安全を気にされるゲストの方もいらっしゃるため、考慮することが重要になってきます。

次に、物件の条件にも注意を払う必要があります。ターゲットとするゲストが快適に過ごせる広さと間取りを持つ物件を選ぶことが重要です。家族連れやグループ旅行者にも対応できる広さがある一軒家のような物件は、幅広いニーズに応えることができます。基本的な設備が整っていることも大切です。キッチン、バスルーム、冷暖房、消防設備などの設備が充実している物件は、ゲストに快適な滞在を提供します。

最後に、法的規制をしっかりと確認することが必要です。物件がある地域の自治体が定める民泊運営の規制に適合する物件を選びましょう。特定の地域では民泊運営が制限されている場合があるため、事前に確認しておくことが重要です。また、消防法や建築基準法などの法律にも適合しているかを確認することが、トラブルを避けるために不可欠です。

民泊開業のための費用

民泊を開業する際に気になるのが費用がどれくらいかかってくるかという部分ではないでしょうか。持ち家の場合、賃貸の場合、新しく購入する場合、それぞれご説明していきます。

結論から言うと民泊をはじめるには数百万円〜1000万ほどの資金が必要とされています。

まず、物件取得費がかかってきます。物件を購入する場合は購入費用が必要で、地域や物件の規模によって大きく異なります。一方、物件を賃貸する場合は、初期費用（敷金、礼金、前家賃など）がかかります。

賃貸の場合、賃料敷金礼金など含め、大体10万円前後を見込んでおくようにしましょう。対して物件を購入する場合には100万円前後を見込んでおくのが良いでしょう。

次に、リフォーム・改装費について。民泊にするためには最低限必要となってくる設備を取り付ける必要があります。内装の改装や設備の工事にかかる費用で、壁紙の張り替えや床のリフォーム、キッチンやバスルームの設備を新しくするための費用がここには含まれます。規模にもよりますが、こちらもまた100万〜と見込んでおきましょう。

また、家具や家電などのインテリア類の購入費も重要です。基本的に必要となるベッド、ソファ、テーブル、椅子などの家具や、冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機、エアコンなどの家電製品だけでも50万前後はかかる場合が多いです。よりインテリアにこだわりたいともなるとさらに費用もかさんでくるため注意が必要です。

さらに、民泊をはじめとした宿泊施設ではアメニティも必要となってきます。シーツ、枕カバー、タオルなどのリネン類や、シャンプー、ボディソープ、歯ブラシなどの消耗品など、初めのうちは大体2～3カ月分ほどを見越して揃えておくと良いでしょう。運営していくにあたり、どの程度の期間どれくらいの量の消費をするのかなどを理解しておくことが重要です。～10万ほど見ておくことをおすすめします。

こういった民泊そのものの初期設備だけでも規模にもよりますが、数百万円はかかります。

民泊を行う上では費用に余裕を持ったうえでの計画的な資金繰りが重要となっています。

リネンやアメニティなど

先ほども触れましたが、民泊をはじめとする宿泊施設は、ゲストが快適に過ごせるよう、必要な設備とアメニティを揃えることが重要です。

特に民泊の場合、他の旅館やホテルと言った宿泊施設とは異なり、キッチンが設けられている場合もあるため、キッチン周りのアメニティにこだわるようにするのも良いでしょう。電子レンジや冷蔵庫などの家電のほか、調理器具のまな板、包丁、鍋類などもあって困らないため備えておくことがおすすめです。

加えて、他の宿泊施設とも共通するバスルーム関連のアメニティも選び方が重要です。特にターゲットによって求められるアメニティも異なるため注意するようにしましょう。女性を中心とした民泊にしたいと考えている場合には、アメニティにもこだわるようにしましょう。特にシャンプーやリンスと言ったソープ類、ドライヤーやヘアアイロンと言ったヘアケア家電もかさばってなかなか持ってこられない女性のゲストにとっては嬉しいサービスです。

リネンは主にタオル類や布団カバー、枕カバー、シーツと言った布製品のことを指します。体に多く触れるものだからこそ清潔に保ち、都度の交換が重要なポイントとなってきます。

近頃ではそんなリネンも業者に依頼することでレンタルできる場合が増えてきています。リネンをレンタルすることのメリットとして、業者が貸し出し、回収、洗濯まで担ってくれるため、煩わしくなりがちな手間を省くことができます。また、リネン一式を自分で用意する必要がなくなるため、リネン一式をそろえる初期費用もかなり抑えることが可能となります。

費用を抑えたい、手間をあまりかけたくないといった場合には民泊を自己完結で営むのではなく、業者などの手を借りるのでもいいかもしれません。

陥りがちな民泊運営の落とし穴！

コンセプト設定の大切さ

民泊は当然ながらただ物件を用意して内装を整えればいいと言うだけではありません。運用資金をうまく回収していくためにもコンセプトに沿った民泊運営を行うことが重要になってきます。

民泊におけるコンセプトとは、その民泊施設が提供する独自の価値やテーマを表す概念です。これは、ゲストに対してどのような体験や価値を提供するかを明確にするために重要です。特にターゲットとなるゲストをうまく見際めることが運営においては重要事項です。

ターゲットの見極め方のポイントとしては「年齢」「性別」「どういったグループか」といった３点で想定すると分かりやすいでしょう。

こういったターゲットを絞ったうえでのコンセプト決定の例では、例えば、家族連れなど大人数でに利用を想定した、自然に囲まれた静かな環境での癒しやリラックスを提供する「森の民泊」、日本ならではの文化や伝統に触れることができる「伝統民泊」、小さなお子さんに向けてデザイン性も楽しく遊べるユニークな空間を提供する「遊べる民泊」など、様々なコンセプトがあります。

また、コンセプト決定の際に気を付けたいのが他の宿泊施設との差別化です。民泊ならではの持ち味を生かし、差別化を図れるように心がけましょう。参考として他の民泊を真似することもあって良いかもしれえませんが、独自性を持つことでゲストからの評価につながりやすくなります。自分の民泊の個性や魅力を見つけ、他と差別化することが重要です。

また、設備や価格設定も慎重に行う必要があります。非日常感を演出するために家具屋家電にこだわりを持たせたい、なんてこともあるとは思います。とは言え一度凝りだしてしまっては費用もなかなかかさんでしまうのもまた事実。初期費用が高額になってしまった、乃至維持に費用が掛かるといった場合は、見合った宿泊の価格設定が必要です。

さらに、民泊運営の上では季節や地域の需要を考えるようにすると良いかもしれません。季節や地域によって需要が変わることを理解し、価格設定を変えるなどの工夫が大切です。

知っておきたい民泊の知識

業務形態について

民泊の業務形態には、「旅館業法」「民泊新法(住宅宿泊事業法)」「特区民泊」の3つの枠組みがあります。3つともそれぞれに特徴を持っており、行いたい民泊の業務懈怠に合わせたものを選ぶことが重要となってきます。

ここではそれぞれの特徴について知っておきましょう。

「旅館業法」に基づく民泊は、従来の宿泊施設を規制する法律に基づいています。一般的な宿泊施設であるホテルや旅館などはこれに該当します。民泊の場合はその中でも「簡易宿泊所」に該当します。この形態では、民泊を行う場合には住宅宿泊事業者としての登録が必要であり、自治体に対して事業所在地の届け出が必要です。例えば、観光地や都心部の民泊は、旅館業法に基づく規制が厳しく、特定地域でのみ許可される場合があります。地域によっては、建物の用途地域や騒音問題などの要件があるため、詳細な情報を自治体に確認する必要があります。

また他の2つに比較して、許可が下りるまで容易ではなく、フロント設備や火災設備などの設置義務を満たさなくてはいけないなど、条件がいくつかあるため注意が必要です。しかし、最低床面積は3.3㎡、最低宿泊日数も1泊2日からとハードルの低い面も挙げられ、宿泊施設以外の貸しスタジオとしても使うことができるといったメリットがあるため民泊業務だけに留まらず物件を活用したい方や、手軽に民泊を利用してもらいたいと考えている方には良いでしょう。

「民泊新法(住宅宿泊事業法)」は、2018年に施行された法律で、民泊を合法化し、規制を緩和することを目的としています。この法律により、住宅宿泊事業者の登録や施設の設備基準、清掃などが定められました。一般的な居住地域での民泊は、この法律に基づいて運営されますが、地域によっては規制があります。また、旅館業法とは異なり近隣住民とのトラブルがあった時の耐暑が必要となっているため、住民の反対や自治体の判断によっては、民泊の営業を制限する場合もあります。

旅館業法と同様の最低床面積、宿泊日数ではあるものの、大きく異なるのが営業日数の制限が設けられていることです。民泊新法では年間での営業が180日以内と定められており、それを超える営業ができなくなってしまうため収益を回収しきれるかと言われると懸念が残ります。また、かと言って貸しスタジオとしての貸し出しは本来の住居という目的から逸脱してしまうため認められておらず、180日を超えて収入を得たいと考えている場合にはマンスリーマンションなどのように、期間を設けてあくまで住居として貸し出すという形をとることで収入を絶やすことなく得ることができます。

「特区民泊」では特定の観光特区内でのみ適用される枠組みで、規制が緩和された運営が可能です。この形態では、一般的な旅館業法や民泊新法の規制よりも、事業者への登録や設備基準が簡略化されています。特区民泊は、地域の観光振興や経済活性化を目的としており、観光特区内でのみ適用されます。そのため、民泊を開業したいと思っている立地で必ずしも使える業務形態ではないということは抑えておきましょう。

また、外国人観光客に特化した民泊であるため、多言語での案内の必要があるほか、最低床面積は25㎡と他の2つに比較して広いものとなっています。加えて最低宿泊日数も2泊3日と1日長くなっていることに注意しましょう。

まとめ

民泊を始めるには、まずは物件の選び方が重要となってきます。ターゲットに基づいたコンセプトから物件は定めるようにしましょう。物件を取得したら、行政機関などへの許可申請が必要です。次に、消防設備の設置や内装工事を行い、快適な滞在を提供するための家具や家電を揃えます。シーツやタオル、シャンプーなどのアメニティも忘れずに準備しましょう。

民泊は開業までも大切ではありますが、その後の運営についてもしっかりと考慮しておくことが重要です。特に清潔感を軸とした清掃についてはどんな業務形態をとっていたとしても求められる部分です。とは言えなかなか手が回らない民泊の清掃。オーナー1人で清掃を行うとなれば、それなりの手間や時間がかかるほか、柔軟な対応が難しくなってしまう場面も出てきます。

そんな時は民泊の清掃代行業者への依頼をおすすめします。柔軟な対応で民泊の異変にいち早く気付き、プロの技術で丁寧な清掃をすみやかに行うことができるため、回転率も下げることなく営業できることがポイントです。また、アメニティの補充なども都度行うことができるため、ゲストからのクレームを抑えることにもつながります。

民泊の清掃代行業者をお探しの方はぜひ一度クリーンビーまでお問い合わせください！